子宝願うなら漢方薬をどうぞ
春光うららかな季節となりました。ある40代の女性から不妊症の相談を受けました。これまで体外受精を試みたものの子宝に恵まれず悩みのなかにありました。そこでこれまでの経緯だけでなく生理の具合や体温表なども拝見し、漢方薬をお飲み頂くことになりました。最初は特に体調の変化は感じられなかったご様子ですが、新年早々に妊娠の報告を頂きました。その後も順調に胎児は育っており必ずや元気な赤ちゃんを出産されるものと確信しております。
漢方薬は補腎薬と血を補うことによりホルモンのバランスを整えます。当初基礎体温表がギザギザな状態でしたが、高温期が安定したのも良かったのだと推察します。不妊症のために高度医療にもチャレンジする方がおられますし、病院での治療と漢方薬を併用する方も多くおられます。お悩みの方はご相談にください。 タウン通信連載記事
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
排卵誘発剤による排卵
排卵がうまくできないケースに用いられるのが排卵誘発剤です。商品としてはクロミッド(クエン酸クロミフェン)が多く処方されています。視床下部に作用してレセプターを阻害することにより脳下垂体からのGnRH分泌を増やし排卵を誘発させます。副作用として頚管粘液が減少したり子宮内膜が薄くなる傾向があります。また卵巣を過度に刺激した結果、卵巣が腫れ、胸水や腹水が溜まったり腹痛や腹部の膨満感に悩まされる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)となってしまうケースもあります。多嚢胞性性卵巣(PCO)になりやすいとも言われます。商品名セキソビッド(シクロフェニル)と言う同類の薬剤は頚管粘液の減少はありませんが、排卵の働きは弱くなります。
ゴナドトロピン療法
FSH製剤やhMG製剤、hCG製剤と言った注射剤を組み合わせて卵胞を育て排卵させる方法がゴナドトロピン療法と言います。
- ショート法、ロング法・・・脳下垂体からゴナドトロピンを放出させるのがGnRHですが、GnRHアゴニストは生体内のGnRHよりもかなり強い働きで放出を促します。最初は脳下垂体から一時的にLH、FSHが放出(flare up)されますが、その後放出がストップ(down regulation)してしまいます。このような人為的ホルモンのコントロール期間によりショート法とロング法などがあります。ショート法はflare up現象を利用して排卵を抑制しつつ卵胞を育てます。ロング法は自然な排卵を抑制しつつ採卵に合わせたタイミングでFSH/hMG製剤(FSH作用>LH作用)で卵胞を成熟させ、最後にhCG(LH作用)の注射をして排卵へ導きます。 GnRHアゴニストとしてはスプレキュア、ナサニール点鼻薬、リュープリンなどの注射剤を使用します。
- アンタゴニスト法・・・生理3~4日目より卵胞を育てる目的でhMGを毎日注射します。次にGnRHアンタゴニスト製剤を卵胞が14mm前後まで育ったタイミングに合わせて使います。最後に排卵を促すhCG(LH作用)の注射をして採卵します。
- *アゴニストとアンタゴニスト・・・アゴニストとは作動薬で、アンタゴニストとは拮抗薬です。
胚移植
胚移植には新鮮胚移植と凍結胚移植があります。新鮮胚移植は一回の生理周期内で採卵し受精、そして2,3日後の初期胚(8分裂)の状態で受精卵を子宮内へ戻します。5.6日かけて培養して胚盤胞(200分裂)の状態で戻すこともあり得ます。一方の凍結胚移植はその周期では戻さず一度凍結するやり方です。その際胚盤胞の状態を待って凍結するやり方だと妊娠率が高いようです。胚移植は採卵までに誘発剤などを使用することにより卵巣が腫れていたり、子宮内膜が薄くなっていることがあり採卵周期移植に比べ凍結胚移植の方が着床率が高くなります。
症状別一覧の不妊症ページはこちら
健康コラム 一覧はこちら