ストレスによる生理不順
何をするにも最高な季節です。
ある30代の女性から生理不順の相談を受けました。一見すると明るく健康そのもののように見えましたが、なにやら生活上のストレスから生理が止まってしまったようです。卵巣から分泌される女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンからなりますが、これらのホルモンの分泌の指令は脳の視床下部からによるもので、ストレスや疲労、乱れた食生活、無理なダイエットなどに敏感に反応するものです。
早速この方の体調を伺い、また帯脈穴(たいみゃくけつ)からも確認したところ、加味逍遙散の適用でした。幸いにもこの女性の場合、1ヶ月後には生理が始まり、体も温まり、のぼせが楽になったともおっしゃっていました。この薬方は逍遙散に柴胡(さいこ)と牡丹皮(ぼたんぴ)を加えたものですが、疲労しやすく、精神的な鬱積(うっせき)があり、漢方で肝気鬱血証といわれるタイプに用います。また血流の流れを良くし、補血としても働きますので、冷え性、更年期障害にも用います。「たかが生理不順」と放っておかれる方もいますが、皮膚のトラブルや様々な体調不良にもなりかねません。早めのご相談をお勧めいたします
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月経周期とホルモンの分泌
生理周期はホルモン分泌の連鎖により以下の4つに区分されます。
- 月経期・・・・・・精子と卵子の結合がなければ、子宮内膜がはがれ排出されます。黄体ホルモン、卵胞ホルモンともに減少します。
- 増殖期(卵胞期)・・卵胞刺激ホルモン(FSH)の働きにより、卵巣にある原始卵胞が発育し、卵胞ホルモン(エストロゲン)により子宮内膜が増殖します。
- 排卵期・・・・・・卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌により黄体化ホルモン(LH)が刺激され卵胞から卵子が排出されます。(エストロゲンの視床下部へのポジティブフィードバックによるLHサージが起こる)
- 分泌期(黄体期)・・卵子が飛び出した後は卵巣から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され、子宮内膜が更にしっかりとした状態になり受精卵着床の準備をします。(卵胞からのインヒビンにより視床下部へFSHの抑制が働く、ネガティブフィードバックが起こる)
*元々のホルモン分泌の指令は間脳にある視床下部からゴナドトロピン放出ホルモン【GnRH(FSHRH、LHRH)】が下垂体のゴナドトロピン【卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)】を刺激することにより卵巣から卵胞ホルモン、黄体ホルモンが分泌されます。
漢方薬は本来のホルモン分泌を促します
上記コラムはストレスが生理不順を招いたと思われるケースです。東洋医学で言う効気滞タイプです。他にも冷えが原因となる寒証タイプ、血流の滞りのあるオ血タイプ、貧血傾向のある血虚タイプなど経血や排卵のご様子など考え合わせて漢方薬をお勧めしております。生理不順でお悩みの方には漢方薬をお勧めいたします。
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