平蔵の寺子屋通信

気の病 “気虚”

気はまさに気を病む病です。また「初病は気にあり」と言われるように気の病は病気の根源であったりもします。気病には気虚、気陥、気滞、気逆の4タイプがあります。

気虚とは本来の気のエネルギーや臓腑の機能が不足している状態です。例えば胃腸の消化機能が低下している場合は脾胃気虚、腎臓の働きが低下している場合は腎陽虚、肺活力の低下は肺気虚などです。気虚は臓腑の機能低下にとどまらず抵抗力、免疫力の低下につながります。症状は元気がなく、疲労倦怠感、食欲不振、無気力、声に力がないといった状態です。原因は生まれながら気の不足(生天の精不足)、老化、生活の不養生、血の不足や長期疾病などです。これに対する一般的な漢方薬は補気薬です。全身の代謝や機能を促進する効果のある人参、黄耆(おうぎ)、炙甘草(しゃかんぞう)、消化吸収を促進する白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、山薬などの補脾薬を配合いたします。その代表的処方に四君子湯、補中益気湯があります。

四君子湯の主薬は人参、甘草、白朮、茯苓の4味ですが、これに生姜と大棗が加わります。これらの4味は処方の中心的役割つまり君薬(くんやく)であるところから、四君子湯と名づけられたと言われています。