気の病 “気逆”
気は本来上から下へ流れるものです。ところが何らかの原因により気の流れが失調する場合があります。気のパワー不足を気虚と言うのに対して気の不足はないものの停滞している場合は気滞、逆流した状態を気逆(気の上衝)と言います。臨床上は肺気上逆、胃気上逆、肝気上逆がもっとも多くみられます。
●肺気上逆・・・肺気の下降の運動性が失調すると咳嗽(がいそう)に悩まされることがあります。
●胃気上逆・・・下降すべき胃気が上逆すると悪心、嘔吐として表れることがあります。
●肝気上逆・・・ストレスや怒りのためにカーッとなって肝気は逆上し、頭に血がのぼってしまい、頭痛、耳鳴り、めまいなどの症状が表れることがあります。
気の上逆はそれだけにとどまらず血も上昇することもあります。ですから気血のアンバランスが様々な症状として表れるケースがあります。
ある30代の女性でしたが、生理周期に合わせてイライラが募り、職場の上司の何気ない一言についカチンと来て言わなくても良いことを言ってしまうそうです。早速漢方薬をお飲み頂いてからはイライラが解消されて気持ちが随分と落ち着いているそうです。漢方薬は例えば桂枝茯苓丸や黄連解毒湯、桃核承気湯、柴胡剤など症状と陰陽虚実寒熱などの体質を考慮してお飲み頂く必要があります。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)の処方構成
桃仁、桂枝、芒硝、大黄、甘草 [ 出典]傷寒論 [ 別名] 桃仁承気湯
実熱のお血証で気の上衝のあるものに用います。
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