肺がんと漢方薬| 免疫力を高めて癌治療に負けないからだづくり
男性は10人に1人が罹ると言われる肺がんとは
日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化社会となり、それに伴い癌が身近な病気となってしまいました。女性は3人に1人、男性は2人に1人が発症しています。とりわけ肺癌は男性の発症が多く、治りにくいと言われ恐れられています。しかし「知は力なり」知らないで闇雲に恐れるのではなく、正しい情報を得てしっかりと治療そして予防に取り組んで頂きたいと思います。肺癌についてまたその診断や治療、漢方薬、養生など紹介いたします。
肺がんの症状とは?
肺がんと診断されても自覚症状がなくあっても風邪に似た症状で咳や痰が絡むなどでいつまでも症状が治まらないので精密検査したことにより見つかったり、別な病気で検査したことにより見つかる場合が多いようです。理由は肺の中には痛みを感じる知覚神経がないためです。その後症状が進行するにつれて胸の痛み、息苦しさ、痰が多く出るようになったり、他の部位に痛みを感じたりします。
肺がんの種類
先に触れましたように日本は世界でも類を見ない超高齢化社会です。高齢になれば代謝が鈍り、逆に免疫機能は低下するのは当然です。平均寿命が伸びればそれだけ癌のリスクは高くなると言わざるを得ません。実に男性は10人に1人が肺癌に罹患しています。肺がんと一口に言っても腺がん、扁平上皮がん、神経内分泌腫瘍(カルチノイド、小細胞がん、大細胞神経内分泌がん)、大細胞がんまた肺がんに近い病気として中皮腫があります。
◎腺がん・・・肺がんの半数を占めています。肺の奥つまり気管支の先にできやすいタイプです。タバコを吸う吸わないに関係なく男女ともに患者数が増加しています。
◎扁平上皮がん・・・腺がんに次いで多いのが扁平上皮がんです。最大の発症要因は何と言っても喫煙です。発症部位は太い気管、肺の入口にできやすいと言われていましたが、奥にもできるタイプが増えているようです。
◎小細胞がん・・・悪性度が高い厄介なタイプなので他のタイプのがんと非小細胞がんとして治療方針を区別しています。
◎大細胞神経内分泌・・・小細胞がんと細胞のタイプが似ており病理検査で区別している。厄介なタイプです。
◎カルチノイド・・・肺がんの1%以下の発症率です。再発や転移の少ないタイプで早期治療により完治できるようです。
◎大細胞がん・・・細胞が大きく集まっているのが大細胞がんです。進行スピードが速く肺の奥に成長するタイプ。胸のレントゲンで発見されるケースが多く
◎中皮腫・・・以前建材やあんかなどに使用されていたアスベスト(石綿)が原因で高齢になってから発症します。胸を覆う胸膜に悪性腫瘍ができ手術が困難なタイプです。
◎転移性肺がん・・・一般的にガンは血流を介して他の器官や組織へ転移していきますが、肺からの転移だけでなく、乳がんや前立腺がんなどから肺への転移、転移性肺がんもあります。
発生部位によるに分類
◎肺野型肺がん・・・気管支の先端や肺の奥にできる癌です。胸のレントゲンではわからないことがあるようですが、CTスキャンで早期に発見が可能です。
◎肺門部肺がん・・・肺の入口にできる癌です。喫煙者に多く発病する癌です。ですから扁平上皮がんに発病する部位です。
肺がんのステージ(病期)とは・・・
肺がんを治療する上で大切なのはどのタイプの癌であるかという事と進行の度合いがどの程度かという事です。専門医は癌の進行度を「TNM分類」という国際分類をもとに表しています。
T・・・Tumorつまり腫瘍の意味で癌の大きさによってTis(上皮粘膜のみ)からT4(7cm以上か多臓器まで浸潤)まで分類しています。
N・・・LymphNodeつまりリンパ節の意味で癌細胞周辺のリンパ節に病巣が及んでいるか否か、あるいはどの範囲に広がっているかを分類します。N0(リンパ節にはない)からN3(反対側の肺の入口まで転移している)
M・・・Metastasisつまり転移を意味します。他の臓器や部位への転移の有無などから以下のように分類しています。M0(転移がない)、M1a(近くの臓器に転移)、M1b(遠くの臓器にひとつ)、M1c(複数の臓器に転移)
肺がんの治療は?
肺がんの治療は「治療ガイドライン」による、標準的治療が全国どこの病院でも受けられるようになっています。実際には小細胞がんとそうでない非小細胞がんに分けられています。
◎小細胞がん・・・次の3分類で標準的治療がなされています。早期限局型、限局型、進展型
◎非小細胞がん・・・TNMの分類に従い薬物治療、放射線治療、手術を単独あるいは組み合わせた治療を医師が勧めてくれます。また最終的な治療方針は患者様と主治医との話し合いの中で決定されます。病院の治療を進める上で気力、体力なども大切な要素です。
肺がんに対する漢方薬の捉え方
中医学の古書「難経」には肺がんを肺積(はいせき)あるいは息賁(そくふん)と記されており、2世紀当時には癌(癌毒)に対する認識がありました。まだ化学療法剤も放射線治療も手術法も確立されていない時代でしたが、以後漢方薬による弁証論治がなされてきたのです。
◎正気虚弱・・・人のからだは30兆個の細胞で構成されており、絶えず古い細胞が消え新しい細胞に生まれ変わっています。その中には癌細胞も一定数発生するといわれており、免疫機能がしっかりと働いている間は問題ないのですが、免疫が低下することにより癌細胞が増殖すると考えられており、それを正気虚弱と言っています。
漢方薬の対応
扶正去邪
◎行気活血・・・からだは血液によって支えられていると言っても過言ではありません。
◎清熱化痰・・・癌により血液の停滞だけでなく炎症によるリンパ液などの停滞、熱を発生させます。
◎益気養陰・・・癌細胞も増殖するためにからだから栄養を吸い取ります。また抗がん剤の治療により体力を消耗してしまいます。
漢方薬にできること
癌患者ご本人またご家族にとっては藁をも掴む思いでいらっしゃいます。「何とか治したい!」と。当店ではそのようなお客様の力になれるように最善を尽くすことをお約束します。ただし漢方薬で末期がんが治るなどの過剰な期待はできません。薬機法のことがありますのでこれ以上のことは記せませんが、基本的に漢方薬は抗がん剤治療に負けない体力、吐気や浮腫みなどの副作用を少しでも軽減するのに有効です。また病後の回復や再発を予防するためにも是非お勧めいたします。
予後が良いとは・・・
よく予後が良いとか悪いとか言われますが、一般には術後や治療後の回復の見通しを言います。またがんの場合は症状の進行度や治療により、ある程度データ化されており、それをもって予後予測を立てています。
日常での養生
肺がんとともに
ある60代の男性より肺がんの相談をお受けいたしました。抗がん剤の治療で癌は縮小したようですが、からだのだるさ吐気などの副作用が辛いという事でした。今後髪の毛も抜けるのではと不安の中で漢方薬も服用して頂きましたが、その後も抗がん剤治療が続きましたが体調は以前よりもよく髪の毛も抜けることなく、また仕事が続けられると言って前向きな気持ちに変わっていました。TさんのQOL改善につながり奥様にも喜ばれました。
漢方薬、健康食品に対する確かな情報と知識が問われている
以前ある種のキノコが癌に効くということで、雑誌や新聞でも取り上げられましたが、薬事法の問題で規制され今ではその種のキノコに関する宣伝チラシが見られなくなりました。それと同時に売り上げが低迷し潰れた会社も多数あったようです。以前のような販促が出来なくなったとはいえ、商品が本当に良ければそうはならなかったはず、期待する程ではなかったのだと思います。では全く効果がないのかと言えばそうでもありません。漢方処方や商品が体調に合っていれば、症状を抑えQOLの向上、免疫力を高め抗癌剤の治療を助けたり、予防に働きます。問われているのは漢方薬や該当する商品の確かな知識、情報なのだと思います。ご相談ははネットではなく店頭にて直接お尋ねください。
肺がんと間違いやすい病気
気管支炎、COPD
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